お葬式のギモン

令和のお葬式の傾向を考える

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社会の状況によってお葬式の在り方も刻々と変化しています。
数十年前までは、弔問や香典を手厚く行う「一般葬」が大半でしたが、平成に入るとその真逆のような「家族葬」が主流となり、さらに昨今では新型コロナウイルスの影響により、葬儀はさらにコンパクト化していきます。
これからの時代、どのようなお葬式が行われるようになるのか、プロの葬儀屋さんが真剣に考えてみました。

「家族葬」こそが令和の″一般葬”

家族葬とは、家族や親族だけで行う小規模葬儀のことです。現代のお葬式の現場には「家族葬」という言葉があふれていますが、それだけ世間の人たちが家族葬を選んできていることを意味します。
 
家族葬の対となるものに「一般葬」という葬儀スタイルがあります。かつて一般的だと考えられていた従来の葬儀スタイルも、「家族葬」が登場したことにより、それに対するものとして「一般葬」と呼ばれるようになったのです。
 
ちなみに、一般葬とは次の3つの要件を満たす葬儀だと考えられています。
 
1.家族や親族以外にも、友人や知人や会社関係など交友のあった方々に訃報を流す
2.通夜と葬儀の2日間の日程で行う
3.僧侶など宗教者を招いて供養をしてもらう
 
従来の葬儀では当たり前に行われていたことのうち、(1)を簡略化したものが「家族葬」、(2)を簡略化したものが「一日葬」、(3)を不要としたものが「無宗教葬」と呼ばれるようになりました。
 
その上で、こうした簡略化の方向にある葬儀全体を指して「家族葬」と呼ばれているのが実情です。

コロナ禍によって葬儀の縮小化が加速

平成に入り、日本経済は長い不景気に突入し、それに伴って葬儀はどんどん縮小化していきました。単純にお金がないという理由に加えて、高齢化に伴って故人の友人や知人の参列が困難になる、会社や近所との付き合いが希薄化するなどの理由から、家族葬がどんどん葬儀の主流になっていきます。
 
その流れにさらに拍車をかけたのが、新型コロナウイルスです。感染拡大を防止するために、「三密防止」「ソーシャル・ディスタンス」などが推奨され、式場にたくさんの人が集まるお葬式は、必然的に簡素化せざるを得なくなりました。
 
このような傾向はデータからも明らかです。
株式会社鎌倉新書が実施した「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、2020年の一般葬の割合が48.9%だったのに対し、2022年では25.9%にまで減少しました。それに対して家族葬は、2020年の調査では40.9%だったのが、2022年では55.7%にまで上昇。同社が調査を開始して以降、家族葬が過半数を超えたのははじめてのことです。
なお、第3位の一日葬が6.9%、第4位の直葬・火葬式が11.4%で、これらも家族や親族だけが集まって行われることを考えると、74.0%の人が、身内だけで葬儀を行っていることになります。
 
これからは多死社会に突入していきます。加えて少子化によって、子や孫の世代の経済的負担がどんどん増加することを考えると、家族葬のさらなる縮小化は、引き続きこれからのお葬式のスタンダードになることが予想されます。
 
とはいえ、お葬式は大切な方との最後のお別れの儀式です。ただ規模を小さくして、費用を抑えればよいというものではありません。そこには、遺族が「心を込めて送り出せた」という納得感や満足感が求められます。
 
そうした点から、一般葬にも一定の根強いニーズがありますし、家族葬自体も一括りにはできず、さまざまニーズに応えるように、そのスタイルも細分化されています。
 
次章から詳しく見ていきます。

一般葬への一定のニーズ

お葬式で最も大切なことは「人が集まること」だと考えられます。そのことから、一般葬には一定の根強いニーズがあります。
 
遺族や親族、友人や知人が故人を囲んで最後のお別れをする。
悲しみに暮れる遺族をいたわるために、近所の人やご縁のあった人たちが駆け付ける。
供養の専門家である僧侶を招いて、故人の死を悼み、それをみんなで共有する。
 
祭壇や棺やセレモニーホールがない時代から、人類は仲間の死をみんなで悼んできました。人類学による遺跡調査でも、10万年以上も前からネアンデルタール人が仲間の遺体を埋葬してきたと言われているのは有名な話です。
 
家族葬で問題となるのは、「参列したかったのにできなかった」「あとから故人の訃報を耳にした」といった、親族以外の方が、最後のお別れができないことです。もちろん、家族の意向が尊重されるべきではあるものの、家族葬にすることで最後のお別れができなかった方の中に違和感が残るのもまた事実です。
 
故人は、家族や親戚以外にも、さまざまな社会的なつながり、たくさんの方とのご縁の中で生きてこられたわけですから、一般葬がゼロになるということは考えにくいでしょう。

にわかに注目? 自宅葬や寺院葬

家族葬が普及して、にわかに注目を集めているのが自宅や寺院での葬儀です。
「家族や親族しか集まらないのであれば、わざわざお金を払って葬儀会館を借りる必要がないのでは?」このように考えるのは、ある種自然な流れです。
長年住み慣れた自宅だからこそ、あわただしい想いをすることなく、故人との最後の時間をゆっくり過ごすことができます。
 
また、多くの人は「最後は自宅で亡くなりたい」と願っているものの、実際には8割近くの方が病院で息を引き取っているというのが現状です。こうした願いを叶える意味でも「せめて葬儀だけは自宅で営んで、故人を送り出したい」と考える人も少なくないようです。
 
また、寺院が自らの本堂を葬儀用に貸し出すところも増えてきました。本堂にはすでに荘厳な装飾が整っているわけですから、わざわざ立派な祭壇を飾らなくても、棺をご安置して、お花やお供え物を並べれば、充分に立派な葬儀ができます。
お寺の本堂は伝統的な荘厳さに囲まれた宗教空間です。葬儀会館や自宅よりも、厳かな雰囲気の中で故人を送り出せることでしょう。
 
しかし、戦後の日本では葬儀会館の利用が主流だったため、自宅やお寺で葬儀をすることで、さまざまなデメリットも生じます。
自宅葬の場合だと、家族だけで行いたいのに近所の人たちに知られてしまう、そもそも自宅の中に祭壇や棺を置く場所がないなどの問題があります。
 
寺院葬の場合も、葬儀を受け入れる側のお寺サイドが難色を示しているところが少なくありません。お寺は住職家族の住まいでもありますから、通夜や葬儀であわただしくなることを嫌がるお寺も少なくないのが実情です。

わが家のような”セレモニーハウス”が人気

ここ最近注目を集めているのが、わが家の雰囲気のような葬儀会館、いわゆる「セレモニーハウス」です。
 
結婚式の現場では、ハウスウェディングが人気ですが、同じように葬儀もわが家の雰囲気で行いたいというニーズが多く、それに応える形になります。
セレモニーを行う式場部分はもちろんのこと、親族の控室もリビング風に作られており、キッチンやシャワールームなども完備していることから、落ち着いた雰囲気でお葬式を行えます。
 
自宅での葬儀はニーズが高いものの、やはり建物そのものがお葬式を行うように設計されていないため、葬儀会館を希望する人が多いのが実情です。そんな方々に対し、従来のような葬儀会館ではなく、少しでも家族のあたたかみ、わが家のような落ち着きを感じられる場所として、人気はどんどん高まっています。
 
西田葬儀社では、「メモリアルハウス平子桜花」をはじめ、自社保有のすべての葬儀会館において、ご家族が故人との最後の時間をゆっくりと過ごせるセレモニーハウスとして設計しています。令和の家族葬は、自宅のようなあたたかみを感じられるお葬式こそが大切だと考えるからです。
 
名古屋でお葬式をお考えの方、またセレモニーハウスに興味がある方は、どうぞお気軽に、西田葬儀社にご相談ください。喜んで、弊社の式場をご案内させていただきます。

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蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

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