お葬式のギモン

故人の最後の旅立ちの準備。旅支度や死に化粧について解説します。

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旅支度とは、故人様を送り出す際に身なりを整えることです。葬儀における旅支度は「納棺の儀」として行われるのが基本です。
 
旅支度は主に、故人様の身体をきれいに清める「湯灌」、死後の旅の服を着せる「旅支度」、故人様のお顔をきれいに整える「死に化粧」、そして棺の中に故人様を納める「納棺」の順に行われます。
 
これら一連の儀式を行うことが、ご遺族が故人様との別れを受け入れる一助となることでしょう。
 
この記事では、旅支度や死に化粧などについて詳しく解説しますので、どうぞ最後まで読み進めてみてください。

【湯灌】故人様の魂を洗い清める

湯灌とは、故人様の肌をきれいに清めるための儀式であり、日本の葬儀において重要な役割を果たしています。これは、故人様の魂が澄んだ状態で仏さまの世界に旅立つために、身体を清めることが不可欠だとされているためです。
 
湯灌には、主に2つの方法があります。
 
・ご遺族が参加する「拭き湯灌」
・湯灌師が担当する「シャワー湯灌」
 
拭き湯灌では、故人様の顔、手、足の順番に布や清浄面を使って拭き、身体を清めます。
 
シャワー湯灌では、湯灌師がバスタブを持ち込んで、故人様の全身にシャワーを流してきれいにする方法が取られます。
 
故人様がきれいになる姿は、生前に背負ってきたものや抱えてきたものを洗い流すかのようであり、ご遺族の心も洗われる効果があります。
 
また、闘病生活でお風呂にも入れなかった故人様の身体がきれいになることで、ご遺族の心も晴れやかになることでしょう。
 
湯灌は、故人様をきれいな体にして、仏さまの世界に送り出す準備となります。このため、ご遺族にとっても故人様にとっても、非常に重要な意味を持っています。
 
湯灌の方法にはいくつかのバリエーションがありますが、いずれも故人様を大切に扱うことが共通しています。
 
ご遺族が直接参加する拭き湯灌では、最後のお世話として直接肌に触れて、故人様への感謝を伝えられます。また、シャワー湯灌では、湯灌師が丁寧に故人様の身体を洗い、最大限の尊厳を保ちます。
 
故人様の体を清めることは、ご遺族が故人様との別れを受け入れるための大切なステップであり、悲しみに暮れるご遺族の心を支えてくれます。故人様が身体的な苦しみから解放され、清らかな状態で新たな世界に旅立つことを願うご遺族の想いは、湯灌を通じて故人様に伝わることでしょう。

【旅支度】旅立ちの姿は巡礼服

湯灌を終えると、次に旅支度を整えます。
 
旅支度とは、故人様が新たな世界へ旅立つ際に必要な装束や小物を用意する儀式です。仏教では、死者は四十九日間の旅に出るとされており、そのための支度を整えるのです。
 
故人様に着せる服は、白い装束で、「旅支度」や「死に装束」とも呼ばれます。
 
白は純粋で清らかな色であり、故人様が無事に仏さまの世界へ向かうことを願う意味が込められています。四国のお遍路さんのような恰好を想像すれば、旅支度がどのようなものであるか分かりやすいでしょう。
 
具体的には、故人様は白い衣をまとい、手に手甲、脛に脚絆、足に足袋と草履を履き、編み笠をかぶります。さらに、手に杖を持ち、首から頭陀袋を下げます。頭陀袋の中には六文銭が入れられます。
 
六文銭は、死者が三途の川を渡る際の渡し賃とされています。しかし、現代では金属を火葬できないため、六文銭を印刷した紙を用いることが一般的です。
 
もしご遺族が、伝統的な旅支度ではなく、故人様が愛用していた服を着せたいと考える場合は、事前に葬儀社に相談しておきましょう。
 
故人様の身体がドライアイスで硬直しているため、袖を通すことができない場合は、布団の上から掛けるなどの方法で対応します。
 
旅支度は、故人様が新たな世界へ向かうための準備であり、ご遺族にとっても大切な意味を持っています。故人様が無事に仏さまの世界へ向かえるよう、ご遺族は心を込めて旅支度を行うのです。
 
故人様との別れを受け入れ、少しでも心の平穏を取り戻すことで、安らかな心で新たなステージへと進む一歩を踏み出せます。

【死に化粧】最後はやすらかなお顔に

死に化粧とは、故人様に施される化粧のことで「ラストメイク」とも呼ばれます。
 
故人様が来世への旅立ちを迎える前に、身だしなみを整えて美しい姿にするためにも大切な行程です。また、故人様が明るい表情になることで、ご遺族の心にもいくぶんか晴れやかさをもたらすことが期待されています。
 
病院では、死後処置にあたる「エンゼルケア」と呼ばれるサービスが行われることがあり、この際に故人様の化粧が施されることもあります。
 
しかし、納棺の儀では、棺に納まる前に、今一度「湯灌」で故人様の顔をきれいにし、その後改めて化粧をし直すことが一般的です。
 
死に化粧は、来世への旅支度の一環として行われます。ナチュラルメイクが基本ですが、ファンデーションやコンシーラーなどで顔色を明るくし、チークと口紅でほんのり赤みをさします。
 
女性はもちろんのこと、男性にも死に化粧を施すとよいでしょう。ファンデーションを塗るだけで肌色に血色が戻り、顔色が明るくなります。
 
死に化粧により、故人様の顔立ちが整い、ご遺族が故人様を偲ぶ際の姿が美しく残ることが期待されます。
 
死に化粧は、専門の化粧師に任せることもできますが、ご遺族が故人様の化粧品を用いて行っても構いません。ご遺族が直接行うことで、故人様が生前に好んでいた化粧を再現しやすくなり、故人様の意向や好みを尊重できるという利点があります。
 
また、死に化粧は、ご遺族が故人様との別れを受け入れるきっかけとなります。ご遺族は、故人様の顔を整え、最後のお別れをすることで、故人様との絆や思い出を大切にするとともに、故人様が新たな世界へ旅立つことを受け入れる力を得ることができます。
 
「自らの手で故人様の顔をきれいにして、送り出すことができた」という実感は、よき供養のためにも有効です。ぜひともご自身の手で死に化粧をしてみてください。

【納棺】故人様の肌にふれる大切な時間

湯灌、旅支度、死に化粧を終えると、いよいよ故人様を棺の中に納めます。納棺の儀のクライマックスです。
 
納棺の儀では、参加者全員で故人様を抱え、慎重かつ丁寧に棺の中に納めます。
 
その後、故人様が生前大切にしていた思い出の品や、故人様を象徴する副葬品を棺の中に納めます。副葬品は、故人様と共に新たな世界へ旅立つことを意味し、ご遺族の想いを形にするものです。
 
副葬品を選ぶ際は、故人様の性格や趣味、ご遺族の想いを大切にし、故人様が喜ぶであろう品物を選ぶことが大切です。
 
気を付けなければならないのは、火葬に弊害を及ぼすものは副葬品にできないということです。副葬品にできるものは原則「燃えるもの」に限られますが、詳細に関しては事前に葬儀社に確認しておきましょう。
 
納棺の儀が進み、ご遺族や参加者が故人様に別れを告げた後、棺の蓋を閉じます。この瞬間は、故人様との最後のお別れを意味し、ご遺族にとって感慨深いものとなります。棺の蓋を閉じることで、納棺の儀が終了となります。

まとめ

この記事では、故人様の最後の旅立ちの準備として重要な「旅支度」や「死に化粧」について詳しく解説しました。
 
これらの儀式は、故人様が新たな世界へと安らかに旅立つための準備であり、ご遺族が故人様との別れを受け入れ、心の整理をするために大切なものです。
 
旅支度や死に化粧を通じて、ご遺族は故人様への感謝や愛情を表現し、故人様が美しい姿で新しい世界へと旅立つことを祈ります。最後のお別れを大切に、心を込めてこれらの儀式を行うことが、故人様を偲びながらご遺族が新たな人生の道を歩む力となります。
 
これから葬儀を迎える皆さんにとって、この記事が故人様の最後の旅立ちを見守る上での参考となることを願っています。

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蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

最後の刻も故人様らしく迎えられるように全身全霊を尽くします。

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