式中の作法・マナー

【例文付き】弔辞を完全解説。意味や読む人、書き方や弔辞用紙の準備の仕方まで

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弔辞とは、葬儀の中で故人様に対して読み上げるお別れのことばのことです。故人様と特に関係の深かった人が読むことが多く、セレモニーの中でも、特に生前の故人様の姿が蘇り、感動を誘う場面の内の一つです。この記事では、そもそも弔辞がどのようなものなのか、誰がどのタイミングで弔辞を読むのか、弔辞の文例も含めて、詳しく解説して参ります。

弔辞とは

まずはじめに、そもそも弔辞とは一体何なのか、弔辞の基本について解説します。

弔辞とは、葬儀のセレモニーの中で故人に向けて読まれるお別れのメッセージです。

「お別れの手紙」や「惜別の辞」とも表現されます。比較的規模の大きい葬儀で行われる傾向にあります。そのため、家族葬が増えてきた昨今では、弔辞を行わない葬儀が増えてきましたが、その反面、よりあたたかみのあるセレモニーにするため、あえて弔辞が見直されている側面もあります。

安倍元総理、赤塚不二夫さん…友人たちが語る生前の故人の姿
記憶に新しいところでは、安倍晋三元首相の国葬(2022)の際に、菅義偉前首相による追悼の辞が思い浮かぶのではないでしょうか。普段私たちが知ることのない友人としての両者の関係性を通じて、多くの人が哀悼の念を抱きました。漫画家の赤塚不二夫さんの葬儀(2008)の時には、親交の深かったタレントのタモリさんが、白紙の紙を手にして約7分の弔辞を読み上げました。多くの人は両者の深いつながりを讃えただけでなく、タモリさんの芸人としての粋なスタイルに驚いたものです。
通常、通夜や葬儀は僧侶の読経を中心に進みますが、宗教的儀式をいったん止めて、弔辞を挟むことで、故人を宗教的にだけではなく、個々人の心情に寄り添った形で送り出すことができます。聞きなれない僧侶によるお経の言葉よりも、親交の深かった方の弔辞の一言一言の方に、より強く共感できることでしょう。弔辞を通じて、おのおのの中に生前の故人様の姿が蘇るだけでなく、自分たちが知らなかった故人様の一面を知ることができるからです。弔辞があることで、より深く故人様を偲び、追悼の念を抱く効果が期待されるのです。

家族葬が増える中、見直される弔辞
弔辞は比較的規模の大きい葬儀で行われる傾向にあります。故人様が社会的影響力が大きく、多くの参列者を迎え入れる時に、第三者で親交の深かった方に弔辞を述べてもらいます。いわば「参列者代表」といった意味合いを持つのです。ここ最近は、葬儀が小規模化し、家族葬が当たり前になってきました。親しい家族や親戚しかいない家族葬で、改まった儀式として弔辞を行うと逆に違和感が生じてしまいます。
しかし一方で、弔辞を挟むことで葬儀がよりアットホームなものになります。家族葬で弔辞を行う場合、特に孫からの弔辞が人気です。

弔辞は誰が読む?

弔辞は、具体的にどういった人が読むものなのでしょうか。

故人との親交が深かった人が読む
弔辞は、一般的に家族や親族以外で特に故人様と親しくしていた人が読みます。友人、仕事上の関係者、自治会など地域活動で関わりを持っていた人などが挙げられます。

弔辞の人数は1~2名が基本
弔辞を行う人数は、一般的な葬儀の規模であれば、1~2名です。
大規模な葬儀では複数の人が弔辞を読むことがあります。たとえば前述の赤塚不二夫さんの葬儀では、タモリさんを含めて6名の方が弔辞を読んでいます。

遺族から依頼する
弔辞は基本的に、喪主や遺族が「この人に読んでもらいたい」という相手に対して依頼します。中には、自ら弔辞を読みたいと申し出るケースもあるようで、喪主の承諾を得れば問題ありません。

依頼を断ることはできる?
弔辞の依頼を受けた時には、可能な限り引き受けるのが礼儀です。文章を作ることや人前で話すことが苦手で、どうしても辞退したいのであれば、事情をお伝えし、丁寧に断わりましょう。

弔辞の構成

弔辞を依頼されたら、どのような文章に仕上げるとよいのでしょうか。

弔辞の構成と文字数
弔辞の基本構成は次の通りです。

故人様への呼びかけ
故人様の名前を呼びかけ、驚きや悲しみを伝える
故人様とのエピソード
生前の人柄、思い出、功績。故人様に伝えたい約束や決意など
お悔やみ
ご遺族へのお悔やみと、故人様への最後の言葉
弔辞を行う年月日と自身の名前
文末には、年月日と自身の名前を署名します
文字数は1000文字程度、原稿用紙なら2〜3枚程度がほどよい文量です。実際に読み上げてみて、3分から5分に納まるくらいにしておきましょう。

忌み言葉に気を付ける
葬儀の現場では忌み言葉を避けるのがマナーです。弔辞においても次のような表現は避けます。

繰り返しを連想させるもの
たびたび、またまた、しばしば、くれぐれも、再び、再三、続いて、追って、相次いで、わざわざ、重ね重ね、

不吉や不運を連想させる言葉や生々しい表現
浮かばれない、しめる、迷う、死ぬ、四および九(数字)など。

弔辞の書き方・畳み方・包み方

文章が決まると、実際に弔辞を紙に書いていきます。紙の選び方、書き方、畳み方、包み方について解説します。

弔辞用紙を買う
弔辞は、正式には大判の巻紙か奉書紙を用い、毛筆で薄墨を使って書きます。弔辞専用の「弔辞用紙」を購入するのがよいでしょう。折巻紙と、それを包むたとう紙(「弔辞」と書かれた包み紙)がセットになっています。文具店、書道用品店、インターネットなどで購入できます。また、毛筆を扱えないという人は、便箋などにペンで書いても構わないとされています。

書き方のルール
弔辞は次のルールに則って書いていきます。

・冒頭に「弔辞」と書き、次の行から本文を書く
・末尾に日付、肩書、氏名を1行ずつで書く
・書き始めや改行の際も1字下げない
・句読点は打たない。その代わり1文字分空ける
・包みの表面に「弔辞」と書く

弔辞はご遺族の手元に永く保管されるものです。書き損じがないよう、下書き、試し読み、修正や調整を経て、清書することをおすすめします。
畳み方・包み方
弔辞用紙を購入した場合は、そのまま折り込んで封筒に入れます。そして、包み紙の表に「弔辞」と書いてあるか確認します(書いてない場合は自筆する)。自身で紙を用意した場合、巻紙の場合は文末から10センチ幅で巻き折りしていきます。

奉書紙の場合は

左から半分に折る
三つに屏風折り
縦に二つ折り

の手順で畳んでいきます。

最後はたとう紙に包みます。

たとう紙を広げた中央に弔辞を置き、
右から左
左から右
上から下
下から上
の順に折っていきます。最終的に左側が前面に来るようにします。

弔辞を読む時の流れ

弔辞を読むのは、葬儀告別式の最中です。開式前に喪主とスタッフとの打合せが行われ、指定の座席を案内されます。そして、次の流れで奉読していきます。

司会者より名前を呼ばれたら祭壇前に進み出て、遺族や参列者に一礼、そして祭壇前にご安置された故人様に一礼をします。
包みの中から弔辞を取り出し、文章を奉読します。
弔辞を読み終えたら、用紙を包み紙の中に戻します。
包みを弔辞台や焼香台に置いて、お供えをします。
故人様、遺族や参列者に対して一礼をし、自席に戻ります。

弔辞の文例

弔辞

太郎 あなたとはじめて出会ったのは、○○高校に入学した時でした 
1年の時 同じクラスで席が隣同士になったのがきっかけでしたね しかもたまたまそれぞれが中学でサッカーをしていたことから 私たちは同じサッカー部に所属して 青春の日々を過ごしました 初対面の時のあなたの笑顔はいまでもはっきりと覚えていますが それ以降 あなたは変わらず笑顔が素敵な人でした

高校を卒業して 別々の大学に進み 社会人となり 家庭を持ち どんどん大人になっていっても 太郎と会う時は いつも高校生のころに戻って 無邪気に笑うことができました
あなたは いつも温かく穏やかで すぐに落ち込みがちな私にとって どれだけ支えになってくれたことでしょうか 今日ここに集まった全ての人が あなたの人柄 あなたのやさしさ あなたの笑顔に救われたことだと思います とても人望のある人でした だからこそ 今日これだけたくさんの人が参列してくれましたね 

仕事に熱心で 家族想いで 友達の前ではバカにもなれる そんな太郎と友人でいられたことを 私は誇りに思います 

10月1日に 太郎はこの世を去りました でも あなた自身が消えてなくなったわけではありません 太郎は私の中にずっと生き続けています いまごろは雲の上で大好きだった焼酎でもちびちびやっているのでしょう あなたのあの優しい目で 雲の下で一生懸命に生きている太郎の家族のことを見守って下さい 
そして たまにでいいので 私たちにも目を向けてやってください

太郎 これまで本当にありがとう 
心から感謝の気持ちをあなたに捧げ お別れの言葉といたします

どうか安らかにお眠りください

令和4年10月1日
友人代表 西田一郎

弔辞は故人様に向けて読まれるお手紙です。マナーや形式を守りつつも、あなたの心をことばにすることで、きっとその想いは、故人様、ご遺族、そして参列者全員に届くことかと思います。弔辞や参列について分からないことなどありましたら、どうぞお気軽に西田葬儀社にご相談下さい。
こちらの動画でも詳しく説明しています。

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  • この記事を書いた人
蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

最後の刻も故人様らしく迎えられるように全身全霊を尽くします。

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