お葬式のギモン

ご遺体の遠距離輸送。陸路や空路、国内外の方法を詳しく解説

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ご逝去された遺体を自宅に運ぶのは、葬儀社が一番はじめにすべきとても大切な仕事です。しかし、人はいつどこで息を引き取るか分かりません。場合によっては、仕事の赴任先や出張先、または旅行先などの遠方の地でお亡くなりになるケースもあります。長距離の遺体の輸送は、自動車、飛行機のいずれかで行われますが、どれくらいの費用がかかるのか、見当もつかないのではないでしょうか。さらにご逝去の場所が海外の場合、さらに費用がかかり、手続きも複雑になります。この記事では、遠距離における遺体の輸送方法について詳しく解説いたします。

遺体の輸送とは

遺体輸送とは、ある場所から別の場所に遺体を移送することです。一般的な葬儀の場合、遺体搬送には主に次の2つの場面があります。

●ご逝去の場所(病院や施設など)から自宅への輸送
●自宅から葬儀会場への輸送

最近では、安置場所を自宅ではなく、直接、葬祭ホールの安置室に輸送するケースも少なくありません。この場合、遺体の輸送は一行程で済みます。遺体輸送の多くは寝台車(寝台搬送できる自動車)を利用して行われますが、長距離となった場合には航空機や船舶を利用します。

遺体輸送は国土交通省の許可事業
遺体輸送を行うには「貨物自動車運送事業法」により、一般貨物自動車運送事業として、国土交通大臣から許可を受けなければなりません。寝台車や霊柩車に装着されるナンバープレートは、事業用車輛の証である「緑ナンバー」となり、分類番号は特種用途自動車としての「8ナンバー」が割り当てられます。許可を受けていない葬儀社が「白ナンバー」の車輛で遺体を輸送するのは法律違反となります。
身内の方が自家用車で遺体を輸送することは法律違反にはあたりませんが、遺体の取り扱いに慣れていない方による輸送はあまりオススメできません。葬儀社の場合、遺体に衛生的な処置を施し、専用のストレッチャーにしっかりと遺体を固定するなど、遺体輸送がスムーズに行える設備が整っているのです。

遠方の遺体輸送 3つの方法

遺体を遠方にお運びする際、移動距離やコストによって、次の3つの方法から選びます。

●寝台車による陸路
●航空機による空路
●離島の場合は船舶

それぞれの費用や特徴については、次の章で詳しく解説していきます。

遺体輸送の費用

まずは遺体輸送の相場についてご紹介いたします。

寝台車による輸送の費用
遺体の輸送料金は、各事業所が定めたものをそれぞれ国土交通省に届け出をして決められます。そのため、一定の相場はあるものの、統一価格はなく、業者によって異なります。一般的な相場は以下の通りです。

約300㎞(名古屋市から横浜市、岡山市) 約12~15万円
約500㎞(名古屋市から新潟市、広島市) 約20~25万円
約700㎞(名古屋市から仙台市、福岡市) 約28~35万円

これら距離に応じた基本料金に加え、ドライアイス、深夜や早朝などの割増料金も加算されます。

航空機による輸送の費用
輸送が遠距離になる場合、空輸を利用した方が安く、しかも早く目的地に到着することもあります。陸路を自動車で輸送するには、時間もかかるだけでなく、燃料代、高速道路、業者への人件費も加算されます。もしも700㎞を超えるような長距離輸送の場合は、陸送よりも空輸で遺体を移送するほうが安くつくケースもあるので、比較検討をおすすめします。国内の航空機による輸送の費用相場は、空港までの車輛搬送費も含めて約20万円〜30万円だと言われています。

船舶による輸送の費用
どうしても自動車や航空機では行けない離島の場合は、船舶を用いてご遺体を輸送します。相場の参考として、東京都の港から伊豆諸島間を船舶で遺体搬送した場合の費用は20万円前後です。

遺体輸送の流れ

遺体の輸送は、次のような流れのもと行われます。

寝台車による輸送の流れ
ここでは例として遠方の病院で亡くなり、愛知県内にある自宅まで寝台車にて遺体を連れて帰る場合の流れを見ていきます。

▶臨終・搬送の手配
医師から「死亡診断書」を受け取ります。ご遺体搬送の際に携行しなければなりません。また、ご遺体には看護師によるエンゼルケアが施されます。

▶寝台車の手配
ご遺体をすぐに搬送できるよう、速やかに葬儀社に連絡します。喪主の名前と連絡先、お迎え先の住所、輸送先の住所などを伝えます。

▶寝台車到着~出発
寝台車が到着したら、速やかに出発に向けて準備します。長距離の場合、事前にドライアイスの手当をします。寝台車には遺族がひとり同乗できます。

▶遺体の搬送
家族からの特別な希望がなければ、高速道路や有料道路など、最短ルートを走ります。

▶安置先に到着
安置先に到着したら、自宅の一室に遺体を安置します。

▶精算
搬送業者と葬儀の施行業者が同一であれば、葬儀費用とまとめて搬送料金も支払います。搬送のみを依頼した場合はご安置が完了した段階で精算となります。その場での現金精算か後日銀行振込を行います。

航空機による輸送の流れ
航空機を利用する場合、前章の輸送の流れに加えて、以下に挙げる事柄をしなければなりません。

▶納棺
空輸の場合、ご遺体は「貨物」として取り扱われるため、必ず納棺しなければなりません。

▶家族の航空便予約
同乗する家族の航空チケットもあわせて予約します。

▶現地葬儀社の手配
到着先の空港から安置先までご遺体を搬送する葬儀社も決めておかなければなりません。フライトナンバーや到着時刻などを伝えておきます。

ご遺体の海外空輸について

国をまたいでご遺体を空輸する場合、手続きは複雑となり、費用も大きくかさみます。

海外空輸の費用
相手国との距離や、その時の状況によって大きく変動しますが、全体で100万から150万円ほどの費用がかかると言われています。内訳は以下の通りです。

▶基本料金(諸手続き・人件費・空港までの車輛による輸送費・棺・棺の解体と処分など)
約30万円~50万円

▶航空機による輸送料金
約20万円~50万円

▶エンバーミングの費用
約20万円~30万円

▶その他の費用
燃油サーチャージ代、遺族の渡航費など

海外空輸の流れ
海外の遺体の空輸は、以下のような流れを踏んで行われます。海外でお亡くなりの方を国内にお連れする場合のケースをご紹介いたします。他国から日本へ遺体を輸送する場合、手続き内容が相手国によって異なるため、現地の日本大使館や日本領事館と相談しながら進めていきます。遺族が現地へ行けない場合には、現地の大使館または領事館に代理で動いてもらえるので、その指示に従います。

▶死亡の連絡
日本国籍を持つ方が海外で亡くなると、
(1)現地の警察から日本大使館や日本領事館へ
(2)現地大使館や領事館から日本の外務省へ
(3)外務省が遺族へ
という流れで、死亡の連絡が入ります。

▶遺体の一時安置
遺体は現地の警察、葬儀業者などに一時的に安置してもらいます。

▶遺族が現地に向かう場合
遺族が現地に向かう場合、航空チケットや宿泊先の手配などをします。一刻も早く現地に到着するためにも、旅行代理店に依頼しても良いでしょう。

▶必要書類を揃える
空輸に必要な書類は、相手国によって異なります。主に以下のものを準備しなければなりません。
●故人のパスポート
●死亡診断書
●死体証明書
●防腐処理証明書(エンバーミングをした場合)
●埋葬許可書(現地で火葬をした場合)
●納棺証明書など

▶現地葬儀社への空輸依頼
大使館や領事館の手を借りながら、現地の葬儀社に遺体の空輸の手配をしてもらいます。フライトナンバーや国内の空港への到着時刻などを確認しておきます。

▶国内の空港でご遺体の受け入れ
遺体が日本に到着したら、速やかにご安置先に輸送します。予め国内の葬儀社に搬送の手配をして、空港で待ちます。

まとめ

この記事では、長距離による遺体の輸送について解説いたしました。遠距離の輸送で疑問がある方は、どうぞお気軽に西田葬儀社にご相談下さい。

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  • この記事を書いた人
蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

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