お葬式のギモン

自宅葬のメリット・デメリット。住み慣れた自宅から大切な家族を送り出すために。

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葬儀の場所と言えば、葬儀専用の葬祭ホールが一般的です。しかし、ここ最近にわかに自宅で行う「自宅葬」が再び注目を集めています。戦後間もないころまで当たり前のように行われていた自宅での葬儀が、どうしていまになって注目されるようになったのかを解説いたします。加えて自宅葬にはどのようなメリットやデメリットがあるのかもご紹介いたします。葬儀の場所でお悩みの方はどうぞ参考にしてみて下さい。

自宅葬とは

自宅葬とは、読んで字の通り、自宅で行うお葬式のことです。住み慣れたわが家から故人を送り出せるという充足感がある反面、葬儀の準備などを負担に感じる人も少なくないようです。

かつては自宅葬が当たり前だった
従来のお葬式は自宅で行うのが当たり前でした。多くの日本家屋には仏間や座敷があり、この空間で、葬儀や法事、結婚式など、さまざまな冠婚葬祭の行事が行われていました。家の中に不幸が起きると、仏間に故人を安置し、部屋の中に幕を張り、祭壇を設置するなどして、葬儀の準備をしたものです。ちなみにわれわれ葬儀社のスタッフが「葬祭ディレクター」の資格を取得するための試験の中には、いまでも式場設営の基本となる『幕張』の審査があります。最近でこそ現場での幕張りは減りましたが、葬儀社の持つべき大切な技術の一つでもあるのです。
近所の人や関係者など、たくさんの弔問客が自宅に集うので、庭や塀の外、さらには近所の空き地を借りるなどして、テントを張り、受付や通夜ぶるまいの席を設けました。こうした光景が、かつては当たり前のように見られたのです。

最近の自宅葬は家族葬が基本
最近の自宅葬は、家族葬を前提として行われています。つまり、「家族数名しか集まらないのだったら、わざわざ葬祭ホールを使用しなくてもいいのではないか」という考えに基づいているということです。特に新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、県またぎの移動の自粛が推進されるなどしたことから、葬儀の参列者は激減し、家族数名だけの家族葬ばかりとなりました。もしも親戚などを招いて、20名から30名近くの人が集まるのであれば、自宅に人が入りきらないかもしれません。しかし家族数名であれば、むしろ自宅でも十分に葬儀の実施は可能です。

自宅葬は全体の3.5%
株式会社鎌倉新書が2020年に行った「第4回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀の場所として、「斎場・葬儀会館」を選んだ人は89.7%「自宅」と答えた人はわずか3.5%でした。今現在は、まだまだ自宅葬の割合はごく少数であることが分かります。
しかし、人口減少が継続していく中で、日本政府は将来的に在宅介護や在宅医療を拡充する方針を目指しており、自宅で家族を看取るというケースも少なくなくなることが予想されます。それに伴い、自宅で息を引き取ったまま、その場所で葬儀をするというケースがにわかに増えてくることでしょう。

自宅葬のメリット

それでは、自宅葬にはどのようなメリットがあるのか、詳しく解説していきます。

住み慣れた家で最後の時間を過ごせる
なんといっても住み慣れた家に故人を連れて帰ることができるというのが一番のメリットです。最後は自宅で息を引き取りたいと願う人が多いものの、病院で息を引き取る人の割合は全体の約8割にも及びます。せめて思い出のつまった自宅で最後の時間を過ごすことで、家族もしっかりと故人を送り出すことができるでしょう。

人目を気にせず自由な葬儀ができる
第三者の参列がないため、人目を気にせずに自分たちが望む葬儀を行えます。仮に祭壇が簡素なものだとしても、家族同士で納得し、合意が取れているのであれば、何ら問題ありません。

葬儀会館使用料金が不要
葬儀会館やセレモニーホールを使用するためには、使用料金を支払わなければなりませんが、自宅葬だと、こうした費用の負担がゼロで済みます。

葬儀費用全体も節約できる
会館使用料金だけでなく、葬儀費用全体をも節約できます。家族だけの葬儀ですから、祭壇の大きさや棺の仕様などにこだわらなくて済む上、飲食費、会葬返礼品、式場案内のスタッフ人件費など、葬祭ホールを利用するためにかかるもろもろの費用も、自宅葬だと不要となります。

家族のきずなを感じられる
葬儀ホールでは、葬儀社スタッフが中心となって式を進行しますが、自宅葬では家族や親族が主体となって葬儀を行います。葬儀の準備、食事の手配、葬儀後の清掃作業なども家族や親族が行うため、家族間の絆を深めることができます。

移動の負担がない
自宅から距離のある葬祭ホールまでわざわざ出向く必要がなく、宿泊の準備などの負担もありません。

自宅葬のデメリット

一方で、自宅葬だからこそのデメリットというものもあります。

スペースの確保が必要
葬儀を行うためには、ある程度のスペースが必要となります。仏間となる部屋には、故人様を安置し、祭壇を設置し、僧侶が読経をし、家族や親戚が座ります。また、僧侶が着替えをする部屋、家族や親戚が控える部屋なども必要です。

駐車場の確保が必要
どんなに小規模の家族葬とはいえ、家族や親戚の車、僧侶の車、葬儀の準備や手配をする葬儀社の車、霊柩車など、さまざまな車が出入りするため、駐車場の確保が必須となります。

近所に知られてしまう
家族葬を希望する人の中には、近隣の人たちに知られたくないと考える人も少なくありません。しかし、自宅葬の場合、どんなに少人数で行われるとはいえ、葬儀社や僧侶などの出入り、お線香の香りや読経の声などで、葬儀が行われていることが知られてしまう可能性が極めて高くなるでしょう。

部屋の清掃や後片付けの手間がかかる
故人を安置して、祭壇を設置するためにはその部屋をきれいに整えなければなりません。さらには控室や、玄関から仏間までの動線なども整えておかないと、搬入や出棺がスムーズにいきません。こうした自宅内の清掃や葬儀後の後片付けなどが、思いのほか負担となることも少なくないようです。

プライベートを見られてしまう
普段他人が入ることのない自宅の中に、葬儀社スタッフや僧侶などの第三者が出入りすることに抵抗を感じる人もいます。

エレベーターで棺を運べるかの確認
マンションの場合、故人の搬出入の際に必ずエレベーターを利用します。通常、エレベーターには、ストレッチャーや棺が納まるための臨時の空間(トランクルーム)が設置されていますが、トランクルームのないエレベーターを使用しているマンションもたまにあります。その場合は、階段を使って上り下りしなければなりません。棺を運ぶためには複数の人手が必要となるだけでなく、棺の中の遺体が傾くリスクもあります。

まとめ

自宅葬のメリットやデメリットについてお分かりいただけましたか?費用を安く抑え、住み慣れた自宅でゆっくりと故人を送り出せるというのが自宅葬の最大のメリットです。しかし、昨今の日本の住環境は、家の中で冠婚葬祭を行えるように設計されていません。そのため、部屋数や部屋の広さから、どんなに小規模であっても葬儀を行えるだけのキャパシティが足りないことが多いようです。
加えて、家族だけで行う家族葬を希望しつつ、自宅で葬儀を行うことで近所の人に知られてしまうという矛盾もはらんでいます。メリットとデメリットの双方を鑑みながら、自分たちにとってよりよい葬儀の在り方を考えるきっかけにしてもらえれば幸いです。

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蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

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