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マリア観音  ~葬儀社社員日記~

皆様こんにちは。西田葬儀社の蜷川です。
今日の話は観音様です。観音様といえば、いろんな姿に変身ができます。
その観音様が、特に不思議な姿になっている像があります。
それがブログのタイトル「マリア観音」です。

マリア様といえばイエス=キリストのお母さんであり、キリスト教で信仰されている重要な人物です。
仏教の観音様が、なぜキリスト教のマリア様になっているのでしょうか…?
それは昨年、新たに世界文化遺産に登録された
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」にも関係しています。
潜伏キリシタンとは、江戸時代の禁教令の中、迫害されてしまったキリスト教信者の人々です。
今ではご葬儀でも、基本的に宗旨宗派を自由に選択することができますが、
当時の江戸時代はまったく違いました。
キリシタンは自分がキリスト教だと知れると大変なことになるので、自身の信仰を隠す必要がありました。
キリシタンの人々は厳しい取り締まりの中でも棄教せず、
産まれてきた子供に隠れて洗礼を施したり、石を並べて十字架を作って信仰の拠り所としました。
また、「オラショ」という呪文のような祈祷文を300年近く口伝で継承し続けました。
このように隠れて信仰を守った方法の一つ、それが「マリア観音」なのです。
マリア観音はパッと見は子供を抱いている観音様なのですが、女性らしさが強調された観音様は
聖母マリアを象徴しており、抱いている子供が神の子キリストを表しています。
またさりげなく十字架が装飾されているマリア観音も存在しています。
この像を目の前で見ると、本当になんとも言えない気持ちになります。
像から当時の人々の強い想いが、ヒシヒシと伝わってくるようでした。

長い長い潜伏期間を乗り越え、いつしか日本では禁教令は解かれていきました。
明るみに出られるようになった潜伏キリシタンの人々は
2014年にはフランシスコ教皇からコメントが送られ、
信仰を守り続けたことが世界中で評価され始めています。

当時の人々が現代に生きられたなら、隠れる必要もなく純粋にマリア様を信仰できたでしょう。
残された大切な人類の遺産から、今の平和で自由な世の中の幸せを噛み締めることができました。
そしてこれは、これからも守り続けていかなくてはなりません。

  • この記事を書いた人
蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

最後の刻も故人様らしく迎えられるように全身全霊を尽くします。

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