式中の作法・マナー

葬儀のときには小物にも気を付けたい! 葬儀と小物のマナー

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葬儀の席は、ファッションを競う場所ではありません。そのため、原則としてアクセサリーは着けるべきではありません。しかし葬儀の席でも着用を許されるアクセサリーもありますし、その「着用を許されるアクセサリー」と「着用を許されないアクセサリー」の線引きが難しいのもまた事実です。そこでここでは、男性編と女性編、そして両性に共通するアクセサリー(やそれに類するもの)を挙げて、「このアクセサリーは許されるのかどうか」について解説していきます。

まずは男性編からです。

【男性編】カフスボタンとネクタイピンについて

男性がスーツ着用時に着けるアクセサリーの代表例といえば、「カフスボタン」「ネクタイピン」でしょう。これは両方とも原則として使用しません。

カフスボタン
特にカフスボタンについては華やかな印象になりすぎるので使わないようにしましょう。なお「シングルカフスならば許容される」とする意見もありますが、カフスボタンはそもそも「着けなければならない理由」はないため、やはりこれも避けた方が無難です。

ネクタイピン
ネクタイピンも、基本的には着けません。しかし受付業務をするときにネクタイが浮くので邪魔になる……という場合もあるでしょう。このような場合は、使用しても構いません。

葬儀のときに着けるネクタイピンは、黒色で、光らないものを選びます。

「葬儀 ネクタイピン」などで調べると、真っ黒なネクタイピンが出てきますから、そのなかから選ぶとよいでしょう。もしくは、真珠の付いたネクタイピンを選ぶようにします。この場合は、黒真珠のものでも白真珠のものでも構いません。前者は喪の色である「黒」ですし、後者は「白く丸い粒が、人の涙を表す」とされているので、どちらを使っても構わないのです。

【女性編】イヤリングやネックレス、マニキュアについて

男性のアクセサリーのマナーを見てきたところで、女性のアクセサリーのマナーについても見ていきましょう。

イヤリングやピアス
イヤリングやピアスは、基本的には用いません。しかしこれも、真珠のものならば認められます。男性のアクセサリー同様、女性のアクセサリーでも、黒真珠・白真珠、どちらの真珠でも使うことができます。ただ真珠を使ったイヤリング・ピアスでも華やかすぎるものは避けるべきですし、「装飾性」を過度に押し出したものは使わないでおきましょう。真珠1粒のもので、ほかの飾りは付いていないシンプルなものを選ぶのが正解です。
なお、オニキスや黒曜石ならば真珠同様葬儀の席でも認められるとする説もないわけではありませんが、日本の場合はやはり真珠にした方が無難でしょう。ここでは「女性のアクセサリー」としてイヤリングとピアスを取り上げていますが、現在は男性でもイヤリングやピアスを楽しむ人は多いかと思われます。ただ男性の場合は、女性の場合とは異なり、葬儀のときにはこれを着けていってはいけません。

ネックレス
ネックレスは、真珠の大きさが7~8ミリ程度のもので、かつ長さが40センチ~42センチくらいのものを選びます。大粒すぎる真珠を使ったものや長すぎるネックレスは、華やかな印象になってしまうので避けます。
なお、ネックレスは必ず一連のものを選んでください。

二連のものは「悲しみが重なる」「悲しみが繰り返される」という意味になるので、使用してはいけません。

このあたりは、葬儀のNGマナーである「忌み言葉(『またまた』などのように重ねる言葉など)を避ける」というところにも通じている価値観だといえるでしょう。
なお、ネックレスを着けるのは「洋装の女性」に限られます。女性であっても、和装の場合はこれを着用しません。

マニキュア
少し目線を変えて、指先のおしゃれである「マニキュア」についても解説していきます。マニキュアは、特段の事情がある場合を除いて禁止です。特にラメの入ったものや色が派手なものは、マナー違反になります。ただ、「爪が非常に弱いため、何も着けていない状態だとすぐに爪が割れてしまう」などのような事情があるときは、「保護剤」として、透明なマニキュアを塗る分には許容されます。
現在は、お店で作ってもらう「ネイルアート」もあります。ネイルアートは一度作ってしまうと落とすのは大変ですし、「せっかくお金をかけて作ったのに、すぐに落とすのも……」という気持ちになる人もいることでしょう。そのような場合は、葬儀用の手袋を着けて出席し、焼香の時だけ外すようにします。

帽子・ベール
葬儀の席における帽子・ベールのマナーについて取り上げていきます。2022年に崩御したイギリスの君主・エリザベス女王陛下の葬儀に、帽子をかぶった王族が参加した姿を見た人も多いのではないでしょうか。日本の葬儀においては帽子はそれほど積極的には使われませんが、正喪服を着用する遺族ならば、葬儀用の「トーク帽」をかぶっていっても構いません。また、この帽子は葬儀の最中にもかぶりっぱなしで構いませんが、黒い手袋とセットで使う必要があります。ちなみに洋画の葬儀のシーンなどでよく見ることになる「(葬儀用の)ベール」は、キリスト教のカトリックの信者のみに着用が許されるものですから、日本での葬儀で使う機会は決して多くはないでしょう。

【男女共通】腕時計と結婚指輪について

最後に、男性・女性、両性の共有アクセサリーとしての「時計」「結婚指輪」について解説していきましょう。

時計
時計に関しては専門家によって多少見解は分かれますが、基本的には着けていっても構いません。

ただこの場合は、装飾性が著しく高かったり、光ったりするタイプのものは避けるべきです。シンプルなベルトとシンプルな文字盤で構成された時計を選ぶべきでしょう。

添い儀の受付などを担当する場合も、実用性を重視し、「飾る」目的での時計は避けるようにします。

指輪
葬儀の席では指輪を着けていってはいけません。ただ、唯一の例外となるのが「結婚指輪」です。結婚指輪ならば、男性でも女性でも葬儀の席に着けていっても構いません。ただ、あまりにもきらびやかなデザインのものであるなら、避けた方が無難かもしれません。
ひとつ注意したいのは、「葬儀で着けていっても構わないのは、あくまで『結婚指輪』だけ」という点です。「まだ結婚はしていないけれど、婚約指輪はもらっている」という人もいるかもしれませんが、結婚指輪とは異なり、婚約指輪は葬儀の席には着けていってはいけません。

「葬儀とアクセサリー」を考えるうえで非常に大切なことは、上でも述べたように、「葬儀の席はファッションを競い合う場所ではない」ということです。ここまでで「葬儀のときに着けていってもマナ-違反にならないアクセサリー」について解説してきましたが、これらはすべて、「葬儀のときにはこれらのアクセサリーを『着けなければならない』というものではない」という点をしっかり確認をしておきましょう。そのため、一番シンプルで、そして一番間違いのない「葬儀とアクセサリーのマナー」は、「何も着けていかないこと」だといえます。カフスボタンやマニキュアはもちろん、ネクタイピンもイヤリング・ピアスも、ネックレスも、帽子も、結婚指輪や時計であってさえ、「着けていかない」が一番シンプルな回答です。そのため、葬儀に出るからといって、これらのアクセサリーを買い足す必要はありません。

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  • この記事を書いた人
蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

最後の刻も故人様らしく迎えられるように全身全霊を尽くします。

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