式後の作法・マナー

葬儀のときのお礼品の種類を知ろう~それぞれ性格が異なります〜

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葬儀のときには、頂いた弔意に対してお返しするためのさまざまなお礼品を用意することになります。ただこの「お礼」は多くの種類がありますし、地方や時代によってその作法が異なることもよくあります。また、「どのタイミングで、どんな渡し方をするか」で戸惑う人も多いことでしょう。
そのためここでは、この「葬儀のときにお渡しする引き出物と、その金額の相場やお渡しする品物」について解説していきます。

※本稿は、2022年の愛知県のマナーを基本としています。葬儀のマナーは年代や地域、またご家族の意向によっても異なってきます。そのため、ここで取り上げる内容は、「絶対的な正解」ではありません。

葬儀におけるお礼品の種類は大きく分けて3種類、細かく分けて4種類

葬儀におけるお礼の品物は、

・粗供養
・引き出物
・香典返し

の3つに大別されます。また香典返しは、その渡し方によってさらに2通りのやり方に分けられます。一つずつ解説していきます。

・粗供養
「粗供養」とは、通夜や葬儀・告別式に参列してくれた人にお渡しするものです。頂く不祝儀の金額は考慮せず、すべての人に同額のものをお渡しします。「会葬御礼」とも言われるもので、葬儀の受付で不祝儀を受け取ったときにすぐに渡します。
なおこの粗供養は、地域によっては「香典返しの別の読み方」とする説を取る場合もあります。また、粗供養を用意しない地域もあります。しかしここでは、上で述べた「会葬御礼」として「粗供養」という言葉を使っていきます。

・引き出物
人が亡くなった後に初めて行われる法事が、「初七日法要」です。初七日法要は、残された家族が声を掛けた人だけが参列するものです。広くいろいろな人を受け入れて行う「一般葬」で故人を見送った場合であっても、初七日法要は限られた身内だけで行うことになります。なお現在は初七日法要を繰り上げて、火葬当日に行うことも増えています。
初七日法要は、

多くの場合、読経→食事→解散 

の流れを取ります。なお、

火葬当日に行う場合は、火葬→読経→精進落とし→解散

 と、火葬日に本来ならば7日間を待って行う「初七日法要の読経」と49日後に行われる精進落としをセットにしてしまうやり方もよくとられます。ただすでに述べたように、どちらの場合であっても、「初七日の法要のときには、(たとえ葬儀・告別式当日に初七日法要を行うとしても)家族が呼んだ人しか参加しない」という点は共通しています。
そしてこの初七日法要の後に、喪主は無事に法要を終わらせられたことのお礼として「引き出物」を参加者に渡すことになります。引き出物を受け取るのは法要に参加した人だけであるため、葬儀・告別式の出棺の後に解散した人には送りません。

・香典返し
葬儀のときにお渡しするお礼のなかでもっともよく知られているのは、「香典返し」でしょう。なお「香典」という言葉は厳密には仏教用語ではありますが、これに代わる言葉として適当なものがないこともあり、キリスト教や神式、無宗教の葬儀でも広く使われています。そのためここでも、「香典返し」という表現を使うようにします。

香典返しの方法

香典返しの方法は、以下の2つです。

1.後日に贈る香典返し
2.即日お渡しする香典返し

1つずつ解説していきます。

1.後日に贈る香典返し
もっとも正式なやり方が、この「後日にお返しする」というものです。かつての日本ではこのかたちがもっとも一般的でした。詳しくは後述しますが、頂いた金額に応じてお礼の予算も変える形式をとります。親族からの不祝儀は大きくなりがちですから、「不祝儀を受け入れるかたちの家族葬だが、声を掛ける親戚縁者が多い」という場合はこの方式を取るとやりやすいでしょう。

2.即日お渡しする香典返し
ここ20年ほどでメジャーになりつつあるのが、この「即日返す」というやり方です。特に「即日返し」と呼ばれます。これは、受付で不祝儀を出した人すべてに対してすぐお返しをするものです。不祝儀と引き換えに渡すことになるので、相手の金額を確かめずに香典返しを渡すことになります。「一般葬であったため、義理で参加してくれる人も多い」という場合は、この方式を取りましょう。

それぞれの金額の相場と、贈るべき品物について

「どのタイプのお返しか」によって、かけるべき金額と贈るべき物が変わってきます。それについて見ていきましょう。

・粗供養
「会葬してくれた人全員に渡す」という都合上、金額の相場は高くありません。500円~1000円程度が目安です。粗供養の場合は、いわゆる「キエモノ」にあたる海苔や洗剤などが選ばれることが多いといえます。また、ハンカチなどの「だれに贈っても嫌われないもの」を選ぶこともできます。ハンカチを贈るのであれば、無地の白色などのように、使うシーンを限定しないものにするとよいでしょう。

・引き出物
2000円~5000円程度が相場です。お返しの品物としてよく選ばれるのはギフトセットやタオルなどですが、この辺りは葬儀会社によっても多少変わってきます。なお引き出物は粗供養とは異なり、「来てくれる人の人数」を正確に把握することができること、また関係性の深い人に来てもらうことから、相場は粗供養に比べて高くなります。なお、実際に引き出物を用意する際は、参列者だけでなく宗教者(ご僧侶様など)の分を用意することも忘れてはいけません。

・香典返し
香典返しの金額は、後日にお返しするか、それとも即日返しかで異なります。

①後日に贈る香典返し
頂いた香典の3分の1~2分の1が相場です。不祝儀の金額を把握したうえで、個別に贈るようにします。ただ、「10万円以上もらってしまった」などのような場合は、香典返しを50000円以上にする必要はありません。15000円程度を上限としてお返しすれば十分です(※もちろん、「多くの不祝儀を頂いたのならきっちり半分にしてお返ししたい」という希望があれば、それはそれで構いません)。

②即日お渡しする香典返し
義理で出席する人の不祝儀の相場は10000円程度ですから、即日の香典返しの金額の相場はその3分の1~2分の1程度の3000円~5000円です(実体験に基づくもであり明確な統計をとったわけではありませんが、特に3000円程度がボリュームゾーンかと思われます)。ただし、このやり方の場合、当然「親戚なので10万円包んだ」などのような人には対応できなくなります。このようにあまりにも高すぎる香典を頂いた場合は、後日お返しをするのが正解です。

香典返しの品物としてよく選ばれるのは、お茶やハンカチセットなどです。このあたりは「粗供養」にも似ていますね。また、カタログギフトなどを選んでも構いません。

なお、葬儀でのお返しでは、どんな場合でも「現金」を直接渡すことはマナー違反とされます。ちなみに地域によっては「現金はNGだけれど、ビール券ならば大丈夫」としているところもありますが、特別なこだわりがない限りは、これは避けた方がよいでしょう。

「葬儀のときに渡さなければならないもの」は非常に多くあります。ただ上でも述べたように、この「お礼」は絶対的な正解はありません。葬儀の専門家同士であっても、住んでいる場所が違えば当然「お礼の常識」も変わってきます。ただそれでも、「基本的にはどのようなお返しをするか」「費用はどのくらい見ておけばいいか」を事前に知っておけば、「まさに、その時」になったときでも冷静に対応できることでしょう。

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  • この記事を書いた人
蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

最後の刻も故人様らしく迎えられるように全身全霊を尽くします。

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