お葬式の音楽の選び方。よく選ばれる曲や選曲方法などの解説

葬儀の雰囲気により深みを与えてくれるのが、館内でかかるBGMや、葬儀の式中に流れる音楽です。葬儀において、音楽はとても大切な要素のうちの一つで、最近では故人が愛聴していたCDを持参して、館内で流すことを希望をする人も少なくありません。
この記事では、お葬式と音楽の関係について、さらにはよく選ばれる曲の解説などもいたします。

葬儀の中で音楽を流す場面

お葬式の中で、音楽を流す場面は主に5つあります。

館内BGM

セレモニーの前後は会館内にBGMを流します。
葬儀会館で流れるBGMには、多くの効果があります。館内が静寂だと、遺族や参列者に緊張感を強いてしまいますが、ゆるやかで、落ち着きのある音楽をBGMとして流すことで、そこに集まる人たちの感情を静める効果があります。
 
また、これまで故人の死を現実的に受け止めきれずにいた人たちに対して、葬儀会館に足を踏み入れ、音楽の奏でられる空間に身を置くことで「いよいよこれから通夜や葬儀に臨むのだと」という気持ちにさせられる効果もあります。
 
音楽には空間を包み込み、雰囲気を整える効果があります。緊張、昂り、動揺などの心のゆらぎを落ち着かせ、それでいて、通夜や葬儀といったセレモニー感を際立たせる意味でも、館内BGMは非常に有効です。
 
適切なBGMとしては、穏やかで落ち着いていたものが望ましいでしょう。 具体的にはクラシックや宗教音楽、ピアノやバイオリンなどを基調にしたものが葬儀の現場ではよく用いられています。

式中の献奏

献奏とは、本来は神仏に対して音楽を奉納することを意味しますが、葬儀においては、故人の冥福を祈るための音楽のことを指します。
 
献葬には主に2つあります。ひとつは葬儀・告別式の中で故人の好きだった音楽CDなどを流すこと、もうひとつは、実際にピアノやバイオリンなどの奏者を招いて、セレモニーの中で生演奏をすること。
 
前者は、主に無宗教葬や自由葬など、宗教者を呼ばないセレモニーの中で実施されます。音楽CDを流す場合、参列者は目を閉じて、故人が愛聴していた音楽に耳を澄ませます。

式中のBGM

弔電紹介、あるいはお花入れの儀など、セレモニーの中でも音楽BGMをかける場面は少なくありません。
基本的には葬儀にふさわしい静かで落ち着いた音楽を奏でます。

宗教音楽の演奏

宗教儀式の中で音楽を奏でることもあります。

神葬祭の「雅楽」

宗教音楽の代表的なものに神道の雅楽があります。
 
神道の儀式では、葬儀に限らず、あらゆる祭礼で楽人(がくにん)と呼ばれる人たちの雅楽の演奏がなされます。3つの管楽器((しょう)篳篥(ひちりき)竜笛(りゅうてき))、3つの打楽器(鞨鼓(かっこ)や太鼓、鉦鼓(しょうこ))、さらに2つの弦楽器((そう)琵琶(びわ))によって奏でられます。
 
神道の葬儀の「神葬祭」では、管楽器の笙、篳篥、竜笛の構成が多いのですが、規模が大きくなるごとに楽人の人数も増え、太鼓や鞨鼓や琵琶などが加わるケースもあります。
斎主の入退場や、遺族や参列者の玉串奉奠の儀式の際に生演奏が奏でられることで、葬儀がより厳かになります。
 
楽人の手配には当然費用がかかりますので、生演奏に代えて雅楽のCDを流すことも少なくありません。

キリスト教の「聖歌」「讃美歌」

キリスト教の葬儀では聖歌(カトリック)や讃美歌(プロテスタント)を歌います。
 
はじめてキリスト教の葬儀に参列すると、「聖歌や讃美歌なんて知らないから歌えない」と不安になるものです。
しかし、配布される式次第の中に歌詞が書かれているので、それを見ながらメロディを追うと、次第に歌えるようになるものです。ハミングだけでも構いませんし、どうしても歌うことに抵抗があれば、無理する必要もありません。

出棺

出棺とは、葬儀を終えた、火葬場に向かう霊柩車に柩を乗せることです。いよいよ故人の旅立ちの瞬間ということもあり、一般的なBGMだけでなく、故人が愛聴していた曲、故人を象徴する曲を流すケースも少なくありません。
 
たとえば、俳優の石原裕次郎さんの葬儀では自身のヒット曲「夜霧よ今夜もありがとう」が流れましたし、アントニオ猪木さんの場合、リングへの登場曲としておなじみの「炎のファイター」がかけられました。
 
筆者が担当したお客様の場合、故人が大好きだったというアリスの「チャンピオン」や、喪主が故人に贈りたい曲としてビートルズの「Let It Be」を流したこともあります。

葬儀におすすめの曲

葬儀の時に流れる音楽には、落ち着きと寄り添い、その中に優しさを感じられる曲が多く選ばれています。

「G線上のアリア」 ヨハン・ゼバスティアン・バッハ

優雅で穏やかな曲調のため、葬儀でよく用いられる曲です。心を落ち着かせるのに適している曲です。

「アメイジング・グレイス」ジョン・ニュートン

イギリスの牧師である ジョン・ニュートンが作詞した世界的に知られる讃美歌。作曲者は不明です。海外では、エルビス・プレスリーやアレサ・フランクリン、国内では、急性骨髄性白血病を患った本田美奈子さんが、闘病中に歌ったバージョンが有名です。

「別れの曲」フレデリック・ショパン

ピアノ曲ではあまりに有名な曲。本来はショパンが作曲した練習曲で「練習曲作品10-3」と呼ばれますが、日本では「別れの曲」の名で広く知られています。本局をアレンジした歌手の平原綾香さんのバージョンも、葬儀にふさわしい曲です。

「アヴェ・マリア」 フランツ・シューベルト

宗教的な曲であり、葬儀の雰囲気に合った穏やかで優しいシューベルトの代表作です。

「弦楽のためのアダージョ」 サミュエル・バーバー

厳粛な雰囲気を大切にすることができる曲で、バイオリンの音色が美しい葬儀に適した曲です。

「君と旅立とう」アンドレア・ボチェッリ

イタリアのオペラ歌手アンドレア・ボチェッリの代表的なオペラティック・ポップ。イギリスのソプラノ歌手サラ・ブライトマンとのデュエットが有名で、世界的なヒットを記録しました。悲しみと別れをテーマにした曲で、穏やかな曲調と感動的な歌声が葬儀の雰囲気に合います。

「この素晴らしき世界」ルイ・アームストロング

世界的なジャズトランペット奏者ルイ・アームストロングの代表曲。明るく前向きな歌詞と、穏やかで優しい曲調が葬儀の雰囲気に合います。世界中の歌手がこの名曲をカバーしており、小椋佳さん、中島美香さん、平井堅さんなどのバージョンが知られています。

こちらの動画では当社で人気のBGMについて解説しております。
興味がある方はぜひチェックしてください。

著作権に要注意!

葬儀の中で自由に音楽をかけたい。そう思っても、著作権に気を付けなければなりません。
 
葬儀社は営利を目的とした一般企業です。その葬儀社が営利が発生する店舗(=葬儀会館)において、無断で楽曲を勝手に流すと著作権侵害になってしまいます。もしも楽曲を流すのであれば、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)に使用料を支払う必要があります。
 
大切な家族の葬儀の中でトラブルを起こしたくないものです。ですから、事前に葬儀を依頼する葬儀社がJASRACと契約を結んでいるかどうかを確認しておきましょう。

こちらの記事もおすすめです

お葬式では好きな曲を流せる?著作権の問題は?

お葬式の際、故人様のお好きな曲を流してあげたいと思う方も多いでしょう。 では持ち込んだCDを式場で流すことは可能でしょうか? 今回は葬儀における音楽の著作権について解説します。 お葬式と著作権の関係 ...

まとめ

いかがでしたでしょうか。葬儀における音楽の効果がお分かりいただけたかと思います。
ちなみに西田葬儀社の直営全館は全館JASRACと契約を結んでいるため、安心してご希望の曲を流すことができます。
 
名古屋にお住まいで、音楽あふれるお葬式をご希望の方は、西田葬儀社にご相談ください。

  • B!