葬儀でかける言葉

西田葬儀社の浅井です。

禍福は糾える縄の如し。と言います。あんまり聞きなれませんかね。
最近耳にする機会があったので。
禍福とは不運と幸運を差し、糾(あざな)うとは縒(よ)り合わせる。つまり縄の形状を差します。
幸せも不幸もより合わせた縄みたいに交互にくるものだから、
一時の不運でくよくよするもんじゃない。みたいな意味だそうです。
個人的には違和感があります。実際交互にはきませんね。泣きっ面に蜂は飛ぶものです。
なので、以前お話した、万事塞翁が馬の方が、私はよく言ったものだと思っています。

そしてタイトルのお話。
正直かける言葉なんてないと思います。
私はですが、葬儀社に勤めて10余年それでもまだまだ若造で、葬儀の知識なんてのを
多少身に着けたとはいえ、いつの時も遺族の悲しみなどは計り知れません。
軽々しく、わかる。とか言えるわけもないと思っています。
同情はできる。不憫にも思う。でも簡単には表現できません。
なのでいつも、心苦しく思います。
友人であれば肩も抱きましょう。
家族であれば一緒に泣きましょう。
でも私は担当者なので、心配をして、見守るだけです。
時に冷たく見えたとして、申し訳なく思っています。

そんな私もいつだったか声をかけたことがあります。
いつも無言なわけではありません。精一杯考えてほんの少し伝えたことがあります。
寒い季節でした。亡きお父様を送る娘さんに、出棺の間際、尋ねられました。
「父は寒がりでした。。こんな時期に一人で旅立たせて、寒くはないでしょうか?」
私は、生意気でしょうか。一言だけ「寒くはないですよ」はっきり言いました。
わかったフリはできませんが、それだけ泣いてくれて、それだけ想ってくれたのなら
心が温かいものなんじゃないかな。自分ならそうだから。

禍福は・・と聞いて、時が経った今、少しでも笑顔を取り戻せているのなら、と
思い出した慣用句でした。

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