古池や… ~葬儀社社員日記~

皆様こんにちは。西田葬儀社の蜷川です。
今日の話は俳句です。タイトルの「古池や」はある有名な俳句の発句(ほっく)ですが
この句は
「古池や 蛙(かわず)飛び込む 水の音」と続きます。
かの松尾芭蕉の作品ですが、これは英語にも訳されており
海外の人にも大いに評価されています。
俳句はそもそも、世界最短の定型詩として世界中で人気があります。
その理由として、その短い文字数の中に深い世界を表現しているところが魅力的なようです。
ちなみにこの作品の英語版は、
Old pond / Frogs jumped in / Sound of water.
です。
ではこの芭蕉の俳句は、なぜこれほど評価されているのでしょうか。
まずここで出てくる蛙ですが、この句を詠んで皆様はどんな蛙を想像したでしょうか。
大きな蛙なら、飛び込んだとき「バッシャーン!」という大きな音がするでしょうが、
皆様はおそらく、そうではなく、ほんの小さい蛙を想像したのではないでしょうか。
そんな小さな蛙が古池に飛び込んで
「ぽしゃん」とか、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな音を発したのではないかと思います。
この情景を描いて、じゃあ一体何を表現しているかというと、
この小さな蛙が飛び込む、ほんの小さな音が聞こえるということは
作者がいる状況が本当に静かであるということです。
例えば都会のど真ん中で小さな蛙が飛び込んでも
周りの喧噪にいとも簡単にかき消されてしまいます。
こんな小さい飛び込み音が聞こえるほどの状況は、
そこには確かに深い静けさが存在しており、
そこから寂しさや無情さなど、いろんな感情を彷彿とさせると思います。
考えれば考えるほど味わい深く、それはとても果てしないものです。
また、これと同じような状況を、自分の日常で体験したとき
「ああ、これがあの俳句が言いたかったことなんだな」と思い出すこともあると思います。
自分で体験するとまたさらに、この句の素晴らしさを味わうこともあります。
何百年経っても色褪せず、今も世界中で愛される世界観、
俳句も、松尾芭蕉の句も、本当に日本の宝ですね。
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